金縛り
近頃金縛りにあう頻度が増えたな、と感じる。
テレビを観終わって脳が興奮状態にあるのに、明日早く起きるための用事がある等の理由で寝なくてはならない時。そんな時に遭遇する。
——私が初めて金縛りにあったのは中学生のころだった。
それは、居間で寝ていた時だった。
目はしっかり開いているはずなのに身動きが取れなくなったのだ。
当時はものすごい恐怖体験をしてしまったなと感じていた。
それから何回か金縛りに遭遇した。
でも、毎回不思議な感覚を覚えていた。
金縛りは夢の中の出来事という説(詳しくは知らないが)も聞いたことがあるが、私は、「夢と現実の狭間」にいるような感覚を覚える。
それは、下敷きくらいの薄さの空間であり、私はただひたすらそこでもがいている。
もがいている間の数分は体感の時間なのであり、もしかしたら、実際は数秒の出来事であるのかもしれない、とも思う。
しかし、あの時間はどうにも動けなくて、どうしても息が吸えなくて。
声も出せず、苦しく苦しくもがいている。
とはいえ、何回か経験している故に、最近は最初に経験した日よりも恐怖感が薄れているような気もする。
今はどちらかというと、『金縛り』自体ではなく、それに対する『慣れ』に怖さを感じている。
私はこのようにいろんなことに対して慣れてしまうんだろうか。
初めは違和感を覚えたことでも、時が経てばそれに慣れてしまうんだろうか。
いくつ歳を重ねたとしても、私はずっと「幼いころのような新鮮な感覚」が宿ったままでいたい。